本コーナーは、恐慌の現実に翻弄される日本企業の実態をリポートしたドキュメントである。
(3)企業大崩壊までの「時間稼ぎ」
「金融円滑化法などの付け焼刃法案が日本企業をダメにし、日本経済を恐慌のどん底に突き落とす」
そう警鐘を鳴らすのは元金融機関経営者であるA氏(現在、コンサルティング会社社長)。なぜ、これらの「付け焼刃」法案が日本社会を崩壊に追い込むのか?その原因について、A氏と語り合った。
―― 金融円滑法では返済猶予が認められた43万5271社のうち、14万5090社が経営改善計画未達成。それ以外の会社でも多くは改善とはいえない現状維持。それでも再々延長で、「延命」を繰り返す。借金企業の多くは救われるどころか、むしろ破綻への道を突き進んでいるようにしか見えないが。
「その通りなんだ。そもそも資金繰りに厳しい企業に対して、元金返済は待ってやる、金利だけ支払いなさいという法案なのだけど、再延長どころか再々延長と時間を先送りしている。これは企業にとっては痛み止めの効果でしかない」
―― 痛み止めだから、一時的な対処療法であり、根本的な経営改善の解決にはならないわけだね。
「そう。しかも、延長、延長で金融機関は待ってくれる。待ってくれるという安心感が、実はこの金融円滑化法をダメにしている。実際、返済の猶予期間が延長された企業はどこも尻に火がついた状態。本来なら、業務改善に一刻の猶予も許されない。ところがこの法律が施行されてからの2年間を見ていると、以前よりも中小企業の停滞感は増していると感じる」
―― それは「借金を待ってくれるから」という逃げ場が、逆に企業に必死さ、やる気を失わせていると?
「まあ、何とかなるんじゃないの、という感覚。それが痛み止めを打った多くの中小企業から感じる。これ、もしさらに延長が伸びなければ、どうなると思う?大企業の一部はまだ少し先を見ているけど、日本企業の99%は中小企業。その10%が痛み止めに手を出し、もがいている」
―― もちろん、痛み止めを受けていない中小企業とて、借金地獄のところが多いしね。
(つづく)




